事業のミッションを達成するための戦略立てや自身の業務改善など、企業全体から個人まで幅広く役に立つ「SWOT分析」。
ただ何となく聞いたことがあるけど分析方法がよく分からず、うまく仕事で活かせない方も多いのではないでしょうか?
そんなSWOT分析を活用してみたいと思っている方向けに、SWOT分析の意味や目的、活用の仕方まで図解を介して分かりやすく解説します!
[この記事はこんな悩みのある方にオススメ]
・SWOT分析ってどんな分析方法?
・SWOT分析の目的・活用方法を分かりやすく知りたい!
・SWOT分析は自己分析でも活用できるって本当?
SWOT分析を使うことで思考が整理されて次に行うべき行動が明確になりますので、是非本記事を読んで活かしてみてくださいね!
SWOT分析ってなに?
SWOT(スウォット)分析とは、強み(Strength)、弱み(Weakness)、機会(Opportunity)、脅威(Threat)の4つ頭文字を取った「マーケティングフレームワーク」の1つで、市場の外部環境に企業の強み・弱みを照らし合わせて戦略を立てるために必要な要素を分析する方法のことを指します。
SWOT分析を行うことで、自社の置かれている状況を可視化しながら内部の情報を洗い出し、どの部分をどのように取り組めば目的に対して最適なのかを具体的に把握することができます。
SWOT分析と併せてよく使われるフレームワークに3C分析があります。
2021.05.31
【使い方がわかる】3C分析活用ガイド|具体例で分かりやすく解説
マーケティング戦略を立てる時、自社を取り巻く環境を把握するうえで有効なのが「3C」と呼ばれる分析方法です。「3C分析って聞いたことが...
SWOT分析活用の目的は?
SWOT分析は、主に企業の経営戦略や事業戦略などで用いることが多く、自社のリソース(売上に繋がる資源)が市場や経済の動き、政治など外部で影響のある環境の変化に対して最適な施策手段や課題などを見つけ出すために行います。
SWOT分析では主に下記要素に分けて、外部内部の現状を把握していきます。
内部環境(コントロールできる要因)
S…Strength【強み】
自社にとって他社より優位性があり、ユーザーのニーズを満たすことができる「強み」となる良い要因を探していきます。
W…Weakness【弱み】
自社にとって競合に対して劣っている、またはユーザーのニーズを満たしていない「弱み」となる要因を考えます。
[強み・弱みの項目例]
料金プラン/サービス特徴/サポート体制/店舗規模/ブランド力/業界シェア/商品ラインナップ/社内環境/商品開発技術/人的リソース など
外部環境(コントロールできない要因)
O…Opportunity【機会】
自社にとってチャンスに見える外部から受けるプラスの要因です。政治・経済・社会・技術、競合や買い手・売り手の動きも含めて事業にとって追い風となる理由をまとめます。
[機会の項目例]
為替市場の変動/テクノロジーの進歩/消費者の動き(流行など)/世界規模の出来事(オリンピック・コロナなど) など
T…Threat【脅威】
自社にとって障害となる外部からのマイナスな要因です。「自社の強みを打ち消す危険性」や「弱みが助長される」といった環境の変化をもとに理由をまとめます。
[脅威の項目例]
競合の動き/新たなサービス/テクノロジーの進歩/災害/ルール(法律)の改定 など
SWOT分析の使い方・流れ
それではSWOT分析の使用方法を解説します。
と、その前にSWOT分析を行う前に重要な決め事があります。
SWOT分析の使用目的を決める
SWOT分析を行うことで自社に関わる様々な情報を整理することができますが、その情報をどんな目的をもって活用するのか決めておく必要があります。
分かりやすく例えると、「強みを把握して自社の良さを最大化していきたい」「弱みを把握して補強できる方法を見つけたい」といった目的があることで、収集した情報から注力すべき要素や実行での優先順位が明確になります。
まずは目的を具体的にしてからSWOT分析を行いましょう。
SWOT分析の使い方
今回は使用例として、下記の仮想企業<ミギウデ英会話>をもとにSWOT分析の使い方を解説します。
※今回SWOT分析の使用方法を分かりやすく解説するために情報を簡易化して説明しています。
【ミギウデ英会話 企業情報】
業態:英会話スクール
店舗エリア:大阪北部の郊外エリアを中心に20店舗運営
サービス形態:マンツーマンレッスン形式 / オンラインレッスンなし
サービスカテゴリ:一般向け / 子供向け / ビジネス向け
サービスプラン:最低月々5,000円~から受けられる初心者コースなど
サービス特徴:全員ネイティブ講師 / 受講者それぞれに合わせたカスタムカリキュラム
上記企業のSWOT分析の目的は、現状伸び悩んでいる売上の向上に向けた戦略策定に関するヒントを見つけることです。
①まずは<Threat>脅威から分析する
まずは自社の事業・サービスの新たな展開や継続そのものが可能どうか<Threat>項目から得られる要因をもとに分析を進めていきます。
英会話スクールを運営しているミギウデ英会話としての<Threat>は、実店舗で展開しているためコロナウイルスの影響による外出自粛は退会に繋がる可能性もあり脅威となります。また英会話は生活必需要素が低いためこちらも退会に繋がる可能性があります。
その他にも新たな技術による新サービスの台頭、大手競合の店舗進出などもシェアを奪われるためマイナスの要因となります。
②次に<Opportunity>機会を分析する
<Threat>で自社事業における脅威要因を把握したら、次に追い風となる<Opportunity>のプラス要因を分析します。
<Opportunity>では2020年度から小学3~4年生で必修科目化、5~6年生で正式な教科(外国語科)となり、英語学習の需要が高まりました。またビジネスにおいてもグローバル化が進んでおり「英語」が社会人の必須スキルになりつつあり英語学習需要が高まり、これもミギウデ英会話としてはプラスになります。
併せて英会話レッスンをオンラインで受けられるサービスも年々増加していて、英会話サービス市場の成長が著しいため追い風要素になります。
③次に<Strength>強みを分析する
<Opportunity>で自社事業のプラスとなる要因が把握できたら、次は<Strength>で強みとなる要素を分析します。
ミギウデ英会話は郊外エリアに実店舗を多く展開しており、郊外商圏のビジネスに長けていることは強みの1つとして挙げられます。
また講師が全員ネイティブ(人的リソースの優位性)で本場の英会話を学べる、個人に合わせたカリキュラム(サービス体制の独自性)を作成してくれるといった点も他社と差別化できる強みです。
最後に価格面、サービスプラン面についても強みになりますが、こちらは競合の動きによっては価格競争やプランの模倣などで強みにならなくなる可能性があるため、戦略の実行時期も考慮する必要があります。
④最後に<Weakness>弱みを分析する
<Strength>で強みを把握したら、最後は自社の<Weakness>弱みを探っていきます。
分かりやすい<Weakness>はオンラインサービスがなく、市場の需要に対して取りこぼしが発生しています。
またお客様が不便なオフィシャルサイトのレスポンシブ化を行っておらず顧客へのオンライン環境もよくありません。
都心部のシェアの低さや認知の低さは大手に比べると見劣りするのは仕方がないですが、同レベル程度の企業と比べて低い場合はPR戦略を見直す必要がでてきます。
⑤SWOT分析で抽出した情報を見直す
一旦SWOT分析の項目全ての情報が出たら、再度その情報を見直して精査を行います。
精査の基準としては、
①事実に基づいた情報になっているか
②外部環境に内部環境の情報が入っているなど混同していないか
③情報は新しいものか
④目的に沿った情報かどうか
上記を参考におこない、問題なければSWOT分析情報を元に「クロス分析」を使用してマーケティング戦略を策定していきます。
SWOT分析とクロス分析
クロスSWOT分析は、SWOT分析から収集した情報を元に各項目を組み合わせ、具体的な戦略に落とし込むために活用します。
SWOT分析の情報を集めただけでは戦略を組み立てることはできないため、下記組み合わせから状況に合わせた戦略を考えていきます。
[積極化戦略(SO)] | 「強み」を活かして「機会」を最大化できる方法を検討する。 |
[差別化戦略(ST)] | 「強み」を活かして「脅威」の影響を避ける方法を検討する。 |
[段階的戦略(WO)] | 「弱み」を補強することで「機会」を活かす方法を検討する。 |
[守備/撤退戦略(SO)] | 「弱み」を理解して「脅威」の影響を最小限にする方法を検討する。 |
それでは、今回ミギウデ英会話のケースで上記各項目の戦略を考えてみるとこのような例になります。
①ミギウデ英会話×積極化戦略(SO戦略)
・お子様向け・ビジネス向け英会話サービスのPR強化
・お子様向け・ビジネス向けプランのキャンペーン実施(期間限定入会金無料など)
・能力別カリキュラムについての事例を発信するコンテンツ(ブログなど)の作成
②ミギウデ英会話×差別化戦略(ST戦略)
・講師の動画コンテンツを立ち上げて動画学習を組み込む
(ネイティブ講師50人のリソース力を活かす)
・郊外エリアの市場シェア率を上げる
・期間限定でプラン料金の値下げ(既存顧客のみ)
③ミギウデ英会話×段階的戦略(WO戦略)
・オンラインサービスの導入(オンラインスクールなど)
・カスタマーサポートの強化(チャットボットツール・LINE公式アカウントの活用など)
・スマホユーザー向けにサイトレスポンシブ化
④ミギウデ英会話×守備/撤退戦略(WT戦略)
・補助金や助成金の活用(オンラインなど新たな事業立ち上げ)
・業績の低い店舗を閉店し縮小
・スタッフリソースコストを抑える
上記あくまで事例ですが、様々な観点から可能性を模索して戦略を立てていきます。
こうしてクロスSWOT分析を行えば、思いつきで行うような戦略に比べて精度の高い計画を立てることができるため、目的に対して最適な施策を打ち出すことができます。
SWOT分析の注意点
企業のマーケティング戦略を行ううえでSWOT分析は大変有効的な方法ですが、SWOT分析を正しく行うためにはいくつか注意すべきポイントがあります。
目的に対して重要な要素だけ収集する
特に外部環境(機会・脅威)を分析する際は、SWOT分析を行う目的に合わせた情報を収集することが大事です。
外部環境について様々な変化全ての情報を集めると膨大な量になるため、分析に時間がかかったり必要ない情報で目的を見失うケースがあるため、出来る限り情報を精査して分析を行うようにしましょう。
強みと機会を混同しない
SWOT分析でよく陥るケースとして、抽出した要因が「強み」なのか「機会」なのか判断できないといったことがあります。
その場合のポイントとしては、その要因が自社でコントロールできるorできないで分別すると整理しやすくなります。
自社でコントロールできる要因=強み/弱み、自社でコントロールできない要因=機会・脅威と覚えておけば大丈夫です。
自己分析でのSWOT分析活用
最近では大学生などの学生がSWOT分析からの自己分析をもとに、有利に就職活動を行うために役立てるといったケースも耳にします。
元々はマーケティング戦略策定のために使用されるフレームワークのため完全にマッチするわけではありませんが、個人の状況を把握して活動の大枠を定める意味では応用することもできます。
実際にSWOT分析を個人分析として置き換えると、
①強み=個人が持つ強み(大学ランク・学部学科・サークルでの経験・インターン経験・特技など)
②弱み=個人が持つ弱み(英語が苦手などスキル面・性格面・苦手な行動・苦手な環境など)
③機会=就職市場のプラス要因(新卒内定率・就職希望業界のプラス要因など)
④脅威=就職市場のマイナス要因(競争率・就職希望業界のマイナス要因など)
といった内容で情報収集&整理をすることで、自身の希望就職先や市場に対して現状を明確にできるため、ビジネスの時と同じ「クロスSWOT分析」を行うことで各ケースに応じた対策を考えることに役立ちます。
また別の活用方法として、自身が就職希望している企業についてSWOT分析を行うことで企業の将来性や就職希望動機の再確認など判断材料を増やすうえで有効です。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
企業のあらゆる戦略立てをおこなう際、SWOT分析は効率的に進められる大変便利なフレームワークです。
また自身の置かれている状況を整理するうえでも役立ちますので、ぜひSWOT分析を活用してみてくださいね。
併せてマーケティングフレームについてまとめた記事もありますので、そちらもよければ参考にしてください!
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