近年スマートフォンの普及やインターネットの進歩により、企業がユーザーに対してオンライン上の様々な広告でアプローチできるようになりました。
また、2019年には国内のインターネット広告費(2兆1,048億円)が、テレビCM広告費(1兆8,612億円)を追い抜き、今後事業を推進するうえでWEB広告は欠かせない手段の1つになっています。
そんなWEB広告ですが、日々新しい広告手法が生まれるため、目的に対してどのWEB広告が最適なのか分からない方も多いかと思います。
そこで今回は成果目的に合わせて8種類のWEB広告の特徴や、WEB広告の仕組みについて分かりやすく解説していきます!
[本記事はこんな悩みのある方にオススメです!]
・WEB広告ってどんな広告?
・WEB広告の種類が多くて選び方が分からない!
・WEB広告を使用するうえでの注意点は?
本記事を読めばWEB広告の種類や目的に合わせた広告の選び方を学べますので、是非参考にしてみてください。
WEB広告とは?
WEB広告とは「インターネット上の媒体に掲載する広告」のことで、インターネット広告やオンライン広告とも呼ばれることがあります。
WEB広告の掲載先は、GoogleやYahoo!などの検索結果画面、ニュースサイトの広告枠やFacebookなどSNSの広告枠と、様々なメディアで広告を掲載することができます。
日本人のスマホ保有率が80%を超え、情報取得の大半がインターネットメディアからとなる現代において、WEB広告から得られる効果や期待値は年々高まっているといえるでしょう。
WEB広告の特徴・メリット
WEB広告はオフライン広告(チラシや新聞広告など)と比較して下記のような特徴・メリットがあります。
少額コストで掲載できる
雑誌や新聞などのオフライン広告は「広告枠を一定額支払って掲載する」方法が一般的ですが、WEB広告では自身でリアルタイムに予算や広告内容などを変更することができる「運用型広告」が多く、最低費用も500円~など低価格で広告掲載することができるため、試験的に始めやすく安価に効果を得られる可能性があります。
細かなターゲティングを設定できる
WEB広告では広告サービス各社が保有する膨大な個人データをもとに年齢・性別・地域はもちろんのこと、ユーザーの趣味関心や行動パターンに至る情報まで様々な条件でターゲットを絞り込むことが可能です。
例えば旅行代理店であれば海外の旅行情報を頻繁に見ているユーザーや趣味が旅行といったユーザー、子供服を販売するお店であれば子供の有無やキッズアパレルサイトに良くアクセスしている人などをターゲットとして設定し広告配信できることがWEB広告のメリットです。
広告効果を可視化できる
チラシや雑誌広告などは広告を何人見たか、何人成果に繋がったかを正確に把握することは難しいですが、WEB広告ではあれば広告の表示回数やクリック数、最終成果までつながった数(CV数)まで全て数値を計測することが可能なため、広告効果が良かったのかを正確に判断することができます。
また、広告を見たあと実店舗に来店した数や電話で問い合わせした数など、オフライン上での広告効果を見ることもできるため、コストに対して費用対効果をしっかりと把握したい場合WEB広告はおすすめです。
いつでも広告編集・掲載停止/再開が可能
WEB広告の特徴として、掲載後の広告の編集や掲載停止・再開がいつでも行えることもメリットの1つです。
通常純広告と呼ばれるチラシや雑誌広告などは広告効果がなかったとしても掲載期間内は広告内容の編集や掲載停止など行うことができず「出しっぱなし」の状態になりますが、WEB広告は「運用型」のため効果がないと判断した場合いつでも編集や掲載停止を行うことができるため、無駄なコストを抑えることにも繋がります。
広告手段が豊富にある
WEB広告と一言で言ってもその種類は様々で、成果目的によって「検索連動型(リスティング)広告」や「ディスプレイ広告」「動画広告」など使い分けて効果を出すことができます。
例えば、新しい商品をリリースして認知拡大に繋げたい場合はディスプレイ広告を使って幅広いメディア媒体に掲載したり、商品購入を具体的に検討しているユーザーの獲得ではリスティング広告を使用して成果を上げるなど最適な広告形式を選択することで効果を高めることができます。
WEB広告に最適なターゲット層は?
結論から言うと、どのターゲット層にもWEB広告は効果的です。
上記はユーザーの消費心理(ニーズの深さ)を階層ごとで表した図になりますが、大きくは「潜在層」「準顕在層(検討層)」「顕在層」「コア層」の4階層で分類されます。
潜在層ではニーズが明確化されていないユーザー数が多い反面、商品購入などの成果に繋がりにくい傾向がありますが、準顕在層➡顕在層と階層が深くなるごとにニーズが明確になるのでユーザー数が減少しますが成果に繋がりやすい傾向があるなどの特徴があり、広告主が獲得したい成果によってどの階層にどのような広告で訴求するかで効果が大きく変わってきます。
例えば、認知拡大を促進したいのであれば潜在層へディスプレイ広告やSNS広告で幅広い広告枠で広告掲載するほうが効果が期待でき、コア層に近い階層にアプローチするのであればリターゲティング広告で確度の高いユーザーに再アプローチすることで成果を獲得できる可能性が高まります。
それでは上記目的ごとにどんなWEB広告があるのか、大きく8種類の方法をご紹介します。
目的別WEB広告の種類
リスティング広告
運用型広告 | 最適ターゲット階層 | 主な課金方法 |
顕在層 | CPC(Cost Per Click) |
リスティング広告とは、上記のようにGoogleやYahoo!など検索エンジンに連動した広告のことで、「検索連動型広告」とも呼ばれ、ユーザーが検索エンジンでキーワードを入力した際、上記検索表示された画面上部赤枠にある「広告枠」に広告が表示されます。
リスティング広告は、主にニーズが顕在化したユーザーに対して最適な情報を最適なタイミングで届けることができる広告のため、顕在層へ最終アクション(広告主の成果)を獲得する場合に効果的です。
ディスプレイ広告(アドネットワーク)
運用型広告 | 最適ターゲット階層 | 主な課金方法 |
潜在層~顕在層 | CPC(Cost Per Click) |
ディスプレイ広告とは、GoogleやYahoo!サービスの広告枠や、提携先のサイトやアプリなどの広告枠にテキスト・画像・動画などを使用して掲載する広告の事を指します。
またGoogleでは200万以上のウェブサイトや65万種類以上のアプリ上に広告配信できる「GDN(Googleディスプレイネットワーク)」、Yahoo!のサービスサイトやの提携サイト先に広告配信できる「YDA(Yahoo!ディスプレイ広告)」があり、GDN・YDAは複数の広告媒体へまとめて配信できる「アドネットワーク」とも呼ばれます。
ディスプレイ広告のターゲット階層は広告ターゲットの抽出方法で異なり、認知拡大であれば「ブロード(年齢・性別・地域など最低限のセグメント)配信」、興味促進であれば「アフィニティ(興味関心の高いユーザー)配信」、成果獲得であれば「リターゲティングや類似ユーザー配信」とターゲットの絞り込み範囲を調整することで幅広い成果目的に活用することができます。
動画広告
運用型広告 | 最適ターゲット階層 | 主な課金方法 |
潜在層~顕在層 | CPC(Cost Per Click) CPM(Cost Per Mille) CPV(Coet Per View)など |
動画広告は、YouTubeなどに代表される動画を活用した広告の事を指します。
広告掲載先はYouTube内の広告枠や動画視聴間、GoogleやYahoo!広告のディスプレイ広告枠などでも動画広告を掲載することが可能です。
動画広告の特徴として、動きのある映像と音によるインパクトある広告をユーザーに届けることができ、アイキャッチ効果が高く、何度も目にすることで「刷り込み効果」にも繋がります。
またその他広告と同じくターゲットの絞り込み(年齢・性別・趣味関心・購買意向の高いなど)ができるため、最適なユーザーのみの広告配信もできます。
特にYouTubeの動画広告では、バンパー広告やインストリーム広告、Trueviewアクションなど成果目的に合わせた手法が様々あり、認知拡大だけではなく商品購入のアクションまで獲得できる可能性があり、年々需要が高まっています。
SNS広告
運用型広告 | 最適ターゲット階層 | 主な課金方法 |
潜在層~顕在層 | CPC(Cost Per Click) CPM(Cost Per Mille) |
SNS広告とは、FacebookやinstagramなどのSNSフィード上の広告枠や各SNSの提携先サイトの広告枠に掲載される広告の事を指します。
SNS広告はSNS上で取得した個人情報を元に様々なターゲティングを行うことができ、Facebook広告ではターゲットの照合率が90%を超えると言われるほど、高い精度で広告配信することができます。
またTwitter広告では特定アカウント(マーケティング会社の広告であればTwitterをしているマーケターアカウントなど)をターゲットに設定すると、そのアカウントのフォロワーに類似したユーザーへ広告配信することができる、といったSNSならではの面白いセグメント方法もあります。
またSNS広告は主に認知拡大や興味関心への促進に効果的ですが、Google・Yahoo!広告と同じくリターゲティングデータを活用することで商品購入や申込などの成果獲得にもつなげられるため、SNS利用者層(年齢や性別などの属性)を把握して最適なSNS広告を選ぶことが重要です。
リターゲティング広告
運用型広告 | 最適ターゲット階層 | 主な課金方法 |
顕在層~コア層 | CPC(Cost Per Click) CPM(Cost Per Mille) |
リターゲティング広告とは、すでに広告をクリックしてサイト訪問したなどの履歴を残したユーザーをターゲットに広告を配信する方法のことを指します。
リターゲティング以外にもリマーケティングと呼ばれることがありますが、意味合いは同じになります。
リターゲティング広告の特徴メリットは、顕在層~コア層の欲求ニーズが高いユーザーに広告訴求できることです。
リターゲティング広告を行う上で重要なのはユーザーの質の高いデータを多く取得(商品一覧ページ閲覧ユーザーよりも購入フォーム到達ユーザーのデータ)することで、より最終成果に近いページに訪問したユーザーデータを集められれば、成果を上げる可能性も高まります。
主なリターゲティング広告の種類は、GoogleやYahoo!広告やSNS広告などが挙げられます。
アフィリエイト広告
成果報酬型広告 | 最適ターゲット階層 | 主な課金方法 |
潜在層~準顕在層 | 自社で定めた成果報酬額 |
アフィリエイト広告とは、広告主の広告をアフィリエイター(媒体主)が運営するサイト内に掲載してもらい、閲覧ユーザーがその広告を経由した広告主のサイトで特定のアクションを行ってもらうことで成果を獲得し、媒体主は成果に対しての報酬を得るといった「成果報酬型」WEB広告です。
アフィリエイト広告は広告主とアフィリエイターをつなげるASP(Affiliate Service Provider)と呼ばれる仲介業者を介して広告出稿するため、自社商品サービスの広告をどのASPサービスに依頼するのかが重要になります。
またアフィリエイト広告はアフィリエイターに広告掲載してもらうことで潜在層への認知を幅広く促すことができ、成果報酬型のため無駄なコストが抑えられ費用対効果も高いことがメリットです。
アフィリエイト広告でオススメできるサービスカテゴリとしては、コスメ販売やエステなどの美容系やサプリメントなどの健康食品系、英会話などのスクール系といったものが挙げられます。
ネイティブアド
運用型広告 | 最適ターゲット階層 | 主な課金方法 |
潜在層~準顕在層 | CPC(Cost Per Click) CPM(Cost Per Mille) |
ネイティブ広告とは、Yahoo!ニュースサイトなど記事間、SNSタイムラインの投稿間などに掲載できる、広告をコンテンツの一部として見てもらうことを目的としたWEB広告の1つです。
ネイティブ広告は主に潜在層や準顕在層への認知拡大や興味関心の促進の目的に使用することが多く、広告を広告と認識せず見てもらえる可能性がありユーザーのストレスを軽減して目的の成果に繋げられることがメリットです。
ただし最近ではネイティブ広告自体の認知が上がり、ユーザー自身が広告か判別できるようになったことで成果が上がりにくいケースもあるため、広告内容を工夫してクリックに繋がるクリエイティブをABテストなどで見極めることが重要になります。
メール広告
純広告 | 最適ターゲット階層 | 主な課金方法 |
準顕在層~コア層 | メール広告サービスによって異なる |
メール広告とは、メルマガ形式やメルマガのヘッダーやフッター部に情報を載せて配信する広告の事を指します。
主に配信形式はテキスト・HTMLの2種類あり、基本的にはメール広告配信の許可を得たユーザーにお得な情報やキャンペーン情報などを配信します。
メール広告のメリットとしては広告配信までの準備がラクですぐに訴求できる点、競合他社の情報に埋もれず直接見込み客に情報を届けることができる点などがあります。
特に既存顧客や確度の高い顕在層に対して最適なタイミングでメール広告を実施することで、商品購入などの成果が大きく上がることもあり、ターゲティングと訴求内容・タイミングが重要になる広告方法です。
運用型広告と純広告の違い
ここまでWEB広告の種類とそれぞれの特徴をご紹介しましたが、もう1つ覚えておくべきこととして「純広告」と「運用型広告」2種類の広告の違いがあります。
WEB広告での「純広告」とは、WEB媒体の広告を一定期間買取り広告を掲載する「予約型広告」のことで、代表的な純広告として下記Yahoo!「ブランドパネル」と呼ばれる広告枠などがあります。
「運用型広告」とは、広告主側が広告予算・ターゲット・広告クリエイティブなどリアルタイムで自由に調整改善し効果を上げる広告のことを指します。
また運用型広告は「オークション制」と呼ばれる方法で常に広告コストが変動するため、運用方法次第で費用対効果が大きく異なります。
主な運用型広告としてリスティング広告やディスプレイ広告などが挙げられます。
この2つの広告にはそれぞれ下記のような特徴に違いがあります。
運用型広告 | 純広告 | |
掲載枠 | オークション制のため変動 | 掲載枠は保証 |
費用 | オークション制のため変動 | 買い切りのため固定 |
期間 | 自由に設定可能 | 保証された一定期間 |
メリット | 予算・ターゲット設定、 広告の停止/再開などいつでも調整可能 | 広告枠の買い切りで一定期間 広告掲載が保証される |
デメリット | 効果的な広告運用ノウハウが必要 | コストが高い 広告効果がなくても変更不可 |
上記のように「純広告」は買い切り保証型、「運用型広告」は全て調整可能なオーダーメイド型と全く異なる特徴やメリット・デメリットがあります。
広告予算がある程度確保でき、新サービスや商品を大々的にアピールする目的であれば「純広告」での効果が見込めますし、限られた予算で最大限の成果をあげたいのであれば「運用型広告」を駆使するほうが可能性があります。
上記どちらの広告も特性を理解しながら、自社の目的に合わせて上手に使い分けていきましょう。
WEB広告選定のポイント
ここまでの解説でWEB広告の種類や特徴・メリットなどは理解できたかと思いますが、実際WEB広告を活用するうえで「何を基準にして広告を選べばいいのか」分からない方もいるかと思います。
そこで、これからWEB広告を行うまえの広告選びのポイントを3つご紹介します。
①成果目的に合わせる
まずはWEB広告を選ぶ手前で「広告を出して獲得したい成果は何か」を考えましょう。
成果とは、「新ブランドの認知を上げる」「アプリをダウンロードしてもらう」「商品を購入してもらう」といった企業が求める広告での【結果】のことで、この成果目的を基準にした広告選びが重要なポイントになります。
例えば商品購入が成果目的であれば、効果が出る可能性があるターゲット層は「顕在層以上」になるため、「リスティング広告」や「リターゲティング広告」、「リターゲティングディスプレイ広告」などを検討するといった考え方です。
前項で挙げた各広告の説明に「最適ターゲット層」の情報も記載していますので、良ければ広告選びの参考にしてみてください。
②人物ターゲットに合わせる
成果目的と併せて判断材料にしたいのが「広告訴求したい人物ターゲット」です。
分かりやすい例では、若年層向けのアパレル販売を行う企業であれば、instagramやTikTokなどのSNS広告を検討する、中高年女性向けの健康食品企業であればYahoo!のディスプレイ広告(Yahoo!の利用者層で中高年女性の割合が高いため)といったイメージで、自社商品サービスの利用者が良く活用する、またはよく目にしている媒体を調べて広告を選ぶことが効果を高めることに繋がります。
③自社商品・サービスの特性に合わせる
WEB広告では様々な方法で広告配信できるため、自社の商品サービスの特性を活かせる広告選びも有効な手段です。
例えば、インスタ映えするような商品であればinstagramのSNS広告、躍動感のある動きで魅力が伝わる車商品であればYouTubeなどの動画広告も効果的かもしれません。
ユーザーも日常で様々な広告を目にしており、瞬時に必要かどうか判断しているため、魅力が十分に伝わる広告を選び勝負することも意識しておく必要があります。
まとめ
いかがでしたしょうか?
WEB広告は様々な要素を自由に調整しコストを抑えながら効果を最大化できる反面、広告目的と広告の特性が異なる場合なかなか求める成果に繋がらない可能性もありますので、本記事を通してWEB広告の特性を知ってもらい、少しでも効果の出るWEB広告活用に繋がれば幸いです。
また実際にWEB広告の作成を考えている方向けに広告作成手順をまとめた記事もありますので、そちらも是非参考にしてみてくださいね。
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